購入した国有地の地中からごみが見つかったのに、国が撤去費用を支払うまで4年以上かかり、業務に支障が出たなどとして、兵庫県の金属加工業者が国に約3600万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こすことがわかった。
同じく国有地からごみが見つかった学校法人「森友学園」のケースでは、約1か月で撤去費用を算定しており、業者側は「対応を変えているなら不公平で納得できない」としている。
訴えなどによると、業者は2011年9月、工場用地として大阪府豊中市内の国有地(約390平方メートル)を約2700万円で購入する契約を国土交通省大阪航空局側と結んだ。
ところがくい打ち工事中の12年12月、地中で大量のごみを発見。業者は契約に基づき、国に撤去費用約2390万円などを請求したが、大阪航空局が約2160万円の支払いを認めたのは17年7月だった。
削除が判明したのは、「森友学園事案に係る今後の対応方針について」と題する文書で、2016年4月4日付。売却時の決裁文書に添付されていたが、削除の時期は分かっていない。19日の参院予算委員会で、太田充理財局長は「週末に作業する中で(削除に)気付いた」と陳謝した。
メモによると、学園は同年3月11日、国有地から大量のごみが出たと国に連絡。6月の棟上げ式に向けた工期がずれ込んだ場合は損害賠償を請求する▽国がごみを全て撤去するか、撤去費を引いた売却価格を提示する--などの対応を近畿財務局に要求した。
財務局は工事への影響を抑えるよう指示した本省の意向を踏まえ、「棟上げ式までの工程に与える影響を最小限にする」として発注に時間がかかる工事はせず、撤去費を事前に引いた価格で売却する方針を記載。国土交通省大阪航空局からも「事案の収束を図りたい」と同様の提案があったとして、売買契約を6月下旬とする日程を示した。
国有地はこの日程通り、6月20日、約8億円を引いた1億3400万円で学園に売却された。