2年前の熊本地震で被災し、避難してきた10代の親戚の少女にわいせつな行為をしたとして、強制わいせつ罪に問われた福岡県内の男に対し、福岡地裁は23日、懲役2年6カ月執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)を言い渡した。岩田淳之裁判官は「少女は精神科への通院を余儀なくされ、責任は軽くない」と指摘した。
判決によると、男は2016年4月16日に起きた熊本地震の本震の直後、男の自宅で就寝中だった親戚の少女(当時13)に対し、体を触るなどわいせつな行為をした。
岩田裁判官は熊本地震に直接言及しなかったが、「執行猶予が付いているが、あなたのやったことは許されない」と語った。
関係者によると、少女は事件の約1年後に被害を申告したという。地裁は少女の特定を避けるため、男の氏名や年齢を明らかにしない決定をしていた。
少女が被害を申し出たのは約1年後の17年3月で「言い出せば自分だけでなく家族も追い出されると思って我慢してきた。でも、このままでは他の子にも手を出すと思った」と話しているという。
検察側によると、少女は被害後、病院で重度のストレス反応があると診断された。「今まで経験したことのない地震の恐怖から落ち着けると思ったのに信頼できる親戚から被害を受け、つらかった」と話している。
第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。