千葉市稲毛区の居酒屋で5月、同区の家族4人が切り付けられ、幼稚園児の高木彩友美(あゆみ)ちゃん=当時(6)=が死亡した事件で、千葉地検は14日、殺人や殺人未遂などの疑いで送検されていた元千葉市議の男性(46)を不起訴にした。当時は心神喪失の状態で、刑事責任を問えないと判断した。千葉地裁は地検の申し立てを受け、心神喪失者等医療観察法に基づく鑑定入院を命じた。
男性は5月13日に妹一家を居酒屋に呼び出し、彩友美ちゃんと父(44)、母(42)、妹(2)の3人を次々に刃物で刺し、彩友美ちゃんを死亡させたなどとして千葉県警に逮捕されていた。
医療観察制度とは
「医療観察制度」は,心神喪失又は心神耗弱の状態で(精神の障害のために善悪の区別がつかないなど,通常の刑事責任を問えない状態のことをいいます。),殺人,放火等の重大な他害行為を行った人の社会復帰を促進することを目的とした処遇制度です。
平成15年に成立した「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」に基づき,適切な処遇を決定するための審判手続が設けられたほか,入院決定(医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定)を受けた人については,厚生労働省所管の指定入院医療機関による専門的な医療が提供され,その間,保護観察所は,その人について,退院後の生活環境の調整を行います。
また,通院決定(入院によらない医療を受けさせる旨の決定)を受けた人及び退院を許可された人については,原則として3年間,厚生労働省所管の指定通院医療機関による医療が提供されるほか,保護観察所による精神保健観察に付され,必要な医療と援助の確保が図られます。