厚生労働省は24日、草むらなど野外に生息するマダニが媒介する感染症に感染した猫にかまれた女性が死亡していたことを明らかにした。厚労省は同日、都道府県や医師会などに注意を喚起する通達を出した。ダニ媒介の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」で、哺乳類を介して人が死亡したことが判明したのは世界で初めてという。
国立感染症研究所によると、平成28年5月〜7月、弱った野良猫を保護しようとした西日本在住の50代女性が猫にかまれた。女性に重大な持病などはなく、約10日後に死亡した。半年後に感染研が女性の検体を受けて精査したところ、猫を介してSFTSを発症した可能性が高いことが分かった。
重症熱性血小板減少症候群(じゅうしょうねっせいけっしょうばんげんしょうしょうこうぐん)は、重症熱性血小板減少症候群ウイルスによる感染症である。通称SFTS (severe fever with thrombocytopenia syndrome) 。日本では2013年になってから感染の報告が相次いで発表されたため、同年3月4日に「重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る)」を感染症法に基づく四類感染症に指定して届出の対象としている。治療は対症療法のみで、有効な治療薬やワクチンはない。
症状
主な症状は発熱や消化器症状(吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、下血など)、神経症状(頭痛、筋肉痛、意識障害、失語)、リンパ節腫脹、皮下出血など[3]。致死率は10-30%程度とされるが、軽症患者が診断されていない可能性があり中国の死亡率と同等とするならば、日本国内での患者数は年間100名程度と推定されている。