機構が2016年度、回収が難しいと見込んだ奨学金約1690億円のうち、実際に債権回収をあきらめた割合だ。同じように税金をもとに事業を運営する機関では、教育ローンなどを貸す日本政策金融公庫(国民生活事業)12・3%、個人向けに融資する商工組合中央金庫6・4%。比べると、桁違いに低い。
機構は、債権放棄の基準をこう定めている。
〈返還未済額が1万円未満でかつ2年以上無応答〉
つまり、1万円でも残額があり、2年前まで連絡がついていれば請求を続ける。例外は自己破産、行方不明など。本人が死亡しても、債権を放棄するとは限らない。
12年秋、北海道の港町に暮らす夫婦のもとに、265万円の一括返還を求める督促状が届いた。39歳の息子を膵臓(すいぞう)がんで亡くし、8年がたっていた。「なんで、いまごろ」。連帯保証人である夫宛ての書類を見ると、息子は借りた185万円のうち80万円ほど返していた。残金と利息の合計123万円に加えて、延滞金が142万円。延滞金は死後の分も含まれていた。
妻(77)が機構に電話をすると、担当者は言った。「払えなければ裁判になります」。脅されているようだ、と感じた。
死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除
次の場合、願出により返還未済額の全部又は一部の返還を免除することができる制度があります 。
・本人が死亡し返還ができなくなったとき。
・精神若しくは身体の障害により労働能力を喪失、又は労働能力に高度の制限を有し、返還ができなくなったとき。
日本学生支援機構にご相談ください。 詳細をお伺いし、状況に応じて下記の願出書類を送付いたします。
審査の後、結果を通知いたします。
願出に必要な書類
死亡による免除のとき
1.奨学金返還免除願(相続人、連帯保証人連署。機関保証制度加入者は相続人のみ。)
2.本人死亡の事実を記載した戸籍抄本、個人事項証明書又は住民票等の公的証明書(コピー不可)
※ 住民票を提出する際は、個人番号部分を非表示とした住民票を取得した上で、本機構に提出してください。