4月9日、ある中学校の入学式では、真新しい制服に袖を通した新入生の喜びの声が上がっていた。桜はもう散っているが、新緑の木々を前に、親子で記念撮影をする姿がまぶしい。少し離れた別の中学校でも同じように笑顔あふれる光景が見られていた。しかし──。
「保護者のかたたちは“彼女”たちがこの中学にいるのか、いないのかを気にしていました。私も名簿や読み上げられる名前を真剣に聞いてしまいました。もし娘と同じクラスになったらどうしようかと…。姿は見えませんでしたが、入学式だけかもしれませんし」(出席した保護者の1人)
その中学校に入学するはずだったAさんは4か月半前に自ら命を絶った。そしてAさんの同級生BさんとCさんの姿もそこにはなかった。
鶴ヶ島市で小6女児がイジメを苦に自殺をした件、2ちゃんねるを掘ったら
— DD_OROCHI (@n_orochi) 2018年3月28日
杉下小学校とかいうらしい
(埼玉県鶴ヶ島市五味ヶ谷251)
加害者の2人の実名は
長谷川のあ 佐藤さなって書いてあったけども… 間違ってたらこのツイートは削除する#杉下小学校 #長谷川のあ#佐藤さな pic.twitter.com/hrF9wwKRBe
報告書によるとAさん、Bさん、Cさんの3人は休み時間に話したり、放課後も一緒にいるなど教員からは“友達ができた”と思われていたが、実際は、Aさんに対して悪口を言ったり、鬼ごっこでAさんばかり鬼にするという関係だった。
金銭の強要もあった。誕生日名目で筆箱と定規を買わせ、プリクラの代金や飲食物、雑誌、CD代をAさんに支払わせていた。
11月15日は学校行事の振替休日だった。Aさんは「自殺したい」とCさんに告げた。それを知ったBさんはLINEで自殺に追い込むようなやりとりをした。その直後、BさんとCさんはAさんにコンビニでお菓子を買わせる。
さらにその後、Aさんを道路に座らせ、指示したことを一方的に言わせる状況をAさんのスマートフォンで撮影した。Aさんはその翌日、命を絶った。
自殺から5か月、ネットの掲示板では地元の保護者たちが書き込んだとみられる「2人がどこの中学校に進学するか」の情報交換が盛んに行われていた。
「“一緒の学校になったら自分の子供がいじめられるのではないか”という恐怖心があったようです。ネット上ではBさん、Cさんといわれる実名や顔写真が晒されては消されるということが繰り返されました」(保護者の1人)
同じ中学に進学する予定だったBさんとCさんだったが、冒頭の通り、入学式に2人の姿はなかった。Bさん一家を知る近隣住民が語る。
「騒動後、ふさぎ込むようになり、心配したご家族は犬を飼い始めました。小学校の卒業式には出席していましたけど、おそらく私立の中学に進んだのでしょう」
Cさんは事件後に町からひっそりと姿を消した。
「騒動のことやお父さんの転勤があり、新年度に合わせて一家は自宅を売却して都内に引っ越しました。新築の一戸建てを買ってからまだ10年も経っていませんでした」(別の近隣住民)