週刊誌に掲載された私に関する記事については、事実と異なるものと考えており、裁判の中で引き続き争って参りたいと考えています。他方、財務省が厳しい状況に陥っている中で、さらに私のことでこのような報道が出てしまったこと自体が、不徳の致すところであります。また、報道後の現状を鑑みると、財務事務次官としての職責を果たすことが困難な状況と私自身が考え、先ほど麻生財務大臣に対して辞職を申し入れました。麻生大臣からはご了解をいただいたところであります。私のことでご迷惑をおかけしたすべての関係者の方にお詫び申し上げたいと思います。
今回紹介するセクハラの舞台となったのは、東京・品川区の目黒駅にほど近い「ロゼッタ」という店。財務省はコメントで〈女性が接客をしているお店に行き、お店の女性と言葉遊びを楽しむようなことはある〉としたが、れっきとしたワインバルでの模様である。
なお、前回の音声と併せて報じたセクハラは今春のものだが、こちらは2016年11月。現在、店はオーナーが代わり、店名も変わっている。福田次官の肩書も当時は「主計局長」で、セクハラ発言が昨日今日だけのものではないことが分かるはずだ。
その頃の福田主計局長は、公共放送に不満をお持ちだったようで、
福田 テレビなんか見たくないよ。NHKも下らないじゃ~ん。左翼的で。
記者 う~~ん……まぁ……でもNスぺとか……。
福田 (割り込んで)すいません、キスしたいんですけどぉ……。
記者 ダメです。
また、以下のようなやりとりを、財務省がいうところの〈お店の女性〉とするだろうか。
福田 俺、新聞記者だったらいい記者だったと思うよ。
記者 うんうん、そうじゃないですか、絶対。
福田 キスする?
記者 え、キスする記者に、いい情報あげようなんて、あんま思わない。
福田 いや思うよ~。
記者 えぇー!? 本当ですか!? 福田 いやいや、好きだからキスしたいんだよ。いやいや、キスは……。好きだからキスしたい。好きだから情報を……。
相手が「記者」であることを前提に、会話が展開されていることは明白である。
この時は何の声明も出さんかった新聞労連が…2016年7月21日に発売された人気雑誌「週刊文春」が、自称ジャーナリスト鳥越俊太郎氏(76歳)の女性スキャンダル疑惑を報じ、大きな物議をかもした。かつて鳥越俊太郎氏は女子大生を別荘に連れて行き、女子大生が嫌がるなかキスをしたという内容だ。
財務省・福田淳一事務次官のセクハラ疑惑問題について、日本新聞労働組合連合(新聞労連)は4月18日、声明を発表した。
声明は、「被害者本人」に名乗り出るよう求める財務省の対応を批判。また、セクハラを受けた女性記者に「事を荒立てるな」などと忍耐を強いるのは、「セクハラ容認と同じ」だとして、報道各社にも毅然とした対応を求めた。
財務省の対応について声明は、「週刊新潮が福田次官のセクハラ疑惑を報じた際、麻生財務相が当初、事実関係の調査や処分はしない方針を示したことは、セクハラが人権侵害であるという基本を理解していない表れだ」と指摘した。
また、「財務省が、同省と顧問契約を結ぶ弁護士事務所に被害者本人が名乗りでるよう求めていることは容認できない。被害者への恫喝であると同時に、報道機関に対する圧力、攻撃にほかならない」と強く批判した。
一方、女性記者が置かれている状況について次のように説明し、こうした状況を「もう終わりにしなければ」と訴えた。
《新聞社が新規採用する記者の半数近くが女性だ。多くの女性記者は、取材先と自社との関係悪化を恐れ、セクハラ発言を受け流したり、腰や肩に回された手を黙って本人の膝に戻したりすることを余儀なくされてきた。屈辱的で悔しい思いをしながら、声を上げられず我慢を強いられてきた。こうした状況は、もう終わりにしなければならない》
《今回の件を含め、記者が取材先からセクハラ被害を受けたと訴え出た場合、会社は記者の人権や働く環境を守るため、速やかに毅然とした対応を取るべきだ。「事を荒立てるな」「適当にうまくやれ」など記者に忍耐を強いる指示や黙認は、セクハラを容認しているのと同じであり、到底許されない》
都知事選・鳥越俊太郎の応援演説 #田村智子 #日本共産党
— ちぢれ麺 (@chidiremen11) 2018年4月18日
「一方の方から聞いた話だけ、その方は実名も明かさない、これで報道してる。何の事実確認もしてない、断定もしてない。こういうのを皆さん、ネガティブキャンペーン」 pic.twitter.com/sZdXkzrmJs
篠塚氏の説明によると、この女性社員は1年ほど前から数回、取材目的で福田氏と1対1で会食をしたが、そのたびにセクハラ発言があり、女性社員は自らの身を守るために会話の録音を始めたという。4月4日にも福田氏から連絡を受け、取材のために1対1で飲食した際、セクハラ発言が多数あったことから、途中から録音をし、後日、上司に「セクハラの事実を報じるべきではないか」と相談したが、放送すると本人が特定され、二次被害が心配されることなどを理由に「報道は難しい」と伝えたという。
女性社員は、財務次官という社会的に責任の重い立場にある人物による不適切な行為が表に出なければ、今後もセクハラ被害が黙認され続けてしまうのではないかという強い思いから、週刊新潮に連絡して取材を受け、録音の一部も提供したという。
篠塚氏は「社員からセクハラの情報があったにもかかわらず、適切な対応ができなかったことに関しては深く反省しております」と述べた上で、取材活動で得た情報を第三者に渡したことは「報道機関として不適切な行為であり、当社として遺憾に思っています」と話した。また、「セクシャルハラスメントという事案の性格から、当社としては被害者保護を第一に考え、当該社員の氏名をはじめ個人の特定につながる情報は開示しない」との考えを強調した。