松戸市立六実第二小3年だったベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9)=が昨年3月に殺害された事件で、殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた同小の元保護者会長、渋谷恭正被告(47)=同市六実4=の裁判員裁判は14日、千葉地裁(野原俊郎裁判長)で開かれた第8回公判で被告人質問が初めて行われ、渋谷被告は事件への関与を否定しつつ「見守り活動をしていたのにリンさんを守ることができなくて、すみませんでした」と涙声で遺族に謝罪した。
渋谷被告は「女児の行方不明当日、釣りの準備や下見をしていた」と主張。これまでの審理で検察側は、リンさんが行方不明になった昨年3月24日、被告の軽乗用車が遺体遺棄現場周辺を走行していたと指摘していた。
渋谷被告は捜査段階で黙秘や供述拒否を続け、4日の初公判で「全て違います。検察側の主張は全て架空で、捏造(ねつぞう)されたもの。一切関与していない」と起訴内容を全面否認し、無罪を主張していた。
科捜研主任研究員 リンさんの遺体の腹部や下半身などから採取した試料でDNA型鑑定を行った。鑑定は、第三者のDNA型や、別の試料が誤って混入しないよう適切な方法を取った。鑑定の結果、遺体の腹部からリンさんと渋谷被告のDNA型が混合したDNA型が検出された。さらに腹部からは、唾液と血液が検出されている。だが、これらが誰のものかは分からない。また、被害者に手を触れただけではDNA型が検出されることはほとんどない。
検察官 腹部の唾液は犯人がつけたものと考えられるか。
科捜研主任研究員 その可能性はある。
弁護士 例えば、話しているときに飛んだ唾からDNA型鑑定はできるのか。涙や汗からはどうか。
科捜研主任研究員 飛沫(ひまつ)した唾は量が少ないので不可能ではないが、鑑定できるとは考えにくい。涙や汗にはDNAが入っている細胞が含まれていないので、できない。