福井県福井市大丹生町の国道305号で2016年4月、走行中のトラックに積まれていた角材が落ちて対向車のフロントガラスを突き破り、運転していた男性=当時(43)=が死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた同市、製材所経営林和真三被告(62)の判決公判が7月17日、福井地裁であった。渡邉史朗裁判長は適切な落下防止措置を講じないまま元従業員にトラックの運転を命じた過失があるとして禁錮2年、執行猶予4年(求刑禁錮2年)を言い渡した。
判決理由で渡邉裁判長は、経験の浅い元従業員にふぞろいな角材束8体を運搬させる際、被告は落下防止措置が十分かどうかを検討し指示しなければならなかったと指摘。「何ら落ち度のない被害者を死亡させた被告人の過失は重い」と述べた。
「事故は想定外の運転が原因だった」などとする弁護側の無罪主張に対しては、運転は通常想定される範囲内だったと退けた。
一方で渡邉裁判長は、福井県内の製材業界では事故以前、積み荷の適切な落下防止措置が十分浸透していたとはいえないとし、執行猶予付きの判決とした。
判決によると、林被告は元従業員らとトラック荷台に結束バンドで縛られた角材束8体をロープで固定する際、▽荷台前方につける▽2段目以上の角材束には2カ所以上にロープをかけ固定する-など適切な措置を講じないまま、元従業員にトラックの運転を命じた過失があるとした。
元従業員は自動車運転処罰法違反(過失致死)の罪で禁錮1年6月、執行猶予3年の判決が確定している。