乗用車で自転車の女性をはねて死亡させたとして、埼玉県警武南署は29日、道交法違反(ひき逃げ)などの疑いで、同県川口市立本町小学校教頭の田中嘉明容疑者(54)=同県草加市長栄=を逮捕した。
「飲酒して運転していた。物に少し当たった程度の事故だと思っていた」と容疑を一部否認しているという。
逮捕容疑は28日午前2時20分ごろ、川口市本郷の市道で普通乗用車を運転中、自転車に乗っていたフィリピン国籍の飲食店従業員イトウ・ジョセフィン・ラメダさん(56)=川口市大竹=と衝突して死亡させ、救護せずに逃げた疑い。
同署によると、現場は見通しの良い片側1車線の直線道路。田中容疑者が、前方の車道を走っていたラメダさんの自転車に追突したとみて調べている。ラメダさんは仕事を終えて帰宅途中だったとみられる。
田中容疑者が教頭として勤務していた川口市立本町小学校の関口景子校長によりますと、事故が起きた前日の27日、午後6時半から午後10時ごろまで田中教頭ら5人で、学校の近くの中華料理店や串焼き店で食事をしたということです。
田中教頭は、ビールを中ジョッキで4杯から5杯程度飲んだということですが、酔った様子はなかったということです。
そして、午後10時15分ごろ、田中教頭は「バスで自宅に帰ります」と話し、1人でバス停に向かったということで、足取りはしっかりしていたということです。
田中教頭は、4年前、本町小学校に教頭として赴任し、明るく穏やかな性格で、地域との交流にも積極的で職場や地域などでの人望が厚かったということです。
関口校長は「耳を疑い、信じられなかったが、事実である以上、厳粛に受け止め、今後、市の教育委員会と相談して対応していきたい」と話しています。