堺市で今年2月、小学3年生の長男に暴行を加えて殺害したとして、大阪府警は2日、父親で会社員の福本徹也(35)と母親で堺市臨時職員の裕子(34)の両容疑者を殺人容疑で逮捕し、発表した。2人は「暴行していない」と容疑を否認しているという。
捜査1課によると、2人の逮捕容疑は2月16日~17日未明にかけ、堺市北区百舌鳥陵南町1丁の自宅で長男の陽生(はるき)さん(9)に何らかの暴行を加えて殺害したというもの。17日朝、福本容疑者が仕事に向かった後、裕子容疑者が119番通報。陽生さんは搬送先の病院で死亡が確認された。
捜査関係者によると、司法解剖の結果、死因は致死性不整脈で、目立った外傷はなかったが胃が破裂し、内臓を覆う腹膜も傷ついていたという。強く踏みつけられるなどの暴行を受けた疑いがあるとして、府警が捜査していた。
裕子容疑者は逮捕前、取材に「(虐待は)まったくない。夫もしていない。息子は病気もなく、死因は全然思いつかない」などと話していた。裕子容疑者は事件後、近所の女性に「陽生は朝起きたらベッドで亡くなっていた。前夜にタブレットを使い、夫に怒られていた」と話したという。
同級生らによると、陽生さんが死亡する前日の今年2月16日は授業参観日だった。クラスではこの日に向け、保護者への感謝を伝える「ありがとうの本」という冊子を作り、陽生さんは「お母さん、ありがとう」などと手書きで記していた。
陽生さんは運動するのが好きで、昼休みには一輪車の練習をするのが日課だった。一緒に滑り台をして遊んだ同級生の女児は「頑張り屋さんで、みんなと一輪車で遊ぶのを楽しみにしていた」と話した。別の男児によると、陽生さんは絵を描くのが上手で、図工の授業では両親の絵を楽しそうに描いていた。
陽生さんの死後、同小は緊急の全校集会を開いて児童らに亡くなったことを伝え、保護者にもプリントを配布。同級生の3年生全員でメッセージを書いた手紙を裕子容疑者に渡したという。
「いつも笑って優しかった。亡くなっていたと聞いて、悲しくてたまらない」。同級生の女児はそう話し、うつむいた。