大阪府警富田林署で勾留中だった樋田淳也(ひだじゅんや)容疑者(30)が逃走した事件で、逃走2日後の今月14日、兵庫県尼崎市内の防犯カメラに、樋田容疑者と似た男が原付きバイクに乗る姿が映っていたことが、捜査関係者への取材で分かった。前日には、大阪市などで原付きによるひったくりが複数回発生。府警は樋田容疑者がひったくりをした後、府外へ逃走した可能性もあるとみて調べている。
樋田容疑者は今年5月以降、強制性交等などの容疑で計4回逮捕。今月12日夜、署で弁護士と接見した後、面会室のアクリル板を壊して逃走した加重逃走の容疑で全国に指名手配されている。
捜査関係者によると、樋田容疑者と似た男がカメラに映っていたのは14日午前1時ごろ。尼崎市のJR立花駅近くで黒い原付きバイクに乗っていた。
一方、逃走直後の13日午前0時ごろ、容疑者の実家のある大阪府松原市で、黒い原付きが盗まれているのに住民が気付いた。午前1~2時ごろには大阪市浪速区で黒い原付きによるひったくりが2件発生。午後9時には同府羽曳野市で、午後11時には大阪市平野区で同様のひったくりが発生した。
8月19日(日)午前8時00分頃、尼崎市東園田町4丁目の路上で、ひったくりが発生しました。 犯人は、1名で、現場から西方へバイクで逃走中です。
大阪府警富田林署に勾留されていた無職樋田淳也容疑者(30)が弁護士との接見後に逃走した事件で、府警に寄せられた情報は、発生から2週間が過ぎた27日朝までに約1200件にのぼった。樋田容疑者は実家のある大阪府松原市へ立ち寄った後、盗んだ黒い原付きバイクでひったくりを重ねた疑いもあるが、その後の足取りはわかっていない。捜索が長引く要因には、初動の遅れや防犯カメラ捜査の限界なども浮かぶ。
「不審な男が民家に入った。容疑者ではないか」。23日昼、松原市の住民から寄せられた110番に、府警は色めき立った。民家は窓ガラスが割れ、玄関に黒い原付きバイクが止まっていたからだ。府警は多数の警察官と、ヘリコプターも投入。周囲を規制線で封鎖するなどしたが、結局は人違いだった。