福島市がJR福島駅近くに設置した防護服姿の子どもの像に批判が相次いでいる問題で、木幡浩市長は28日、記者会見を開き「賛否が分かれる作品を『復興の象徴』として設置し続けることは困難」と述べ、像を撤去する方針を明らかにした。
像は現代美術家ヤノベケンジさんが東京電力福島第1原発事故からの復興を願い、2011年に制作した。「サン・チャイルド」と名付けられた黄色い防護服を着た高さ約6.2メートルの子どもの立像で、胸元には放射線量計が付いている。
3日に設置された後、「防護服がなければ生活できないとのイメージを与える」「風評被害を招きかねない」といった批判がツイッターなどで続出。市は18日からアンケート調査を行って対応を検討していた。27日までに110件の意見が寄せられたが、像に否定的な声が約7割を占めたという。
市はできるだけ早く像を撤去する方針で、その後の取り扱いを検討している。木幡市長は「不快な思いをされた方々には心からおわび申し上げる」と謝罪。市長給与を減額する考えを示した。
ヤノベさん「対立が生まれることは避けたい」
ヤノベさんは撤去が発表された28日、自身の公式ホームページで、展示取りやめについてコメントを発表した。今回の騒動について、像の設置を受けて不快に感じた人々へお詫びを伝えた。
福島市との協議については「大変残念ではありますが、こむこむ館前に置き続けることで、苦しむ市民の方々がおられるならば撤去し、展示を取り止めた方がよいという結論に至りました」とし、「これ以上、市内外の人々を巻き込み、対立が生まれることは避けたいと思いました」と決断に至る経緯を説明した。