大阪府警富田林署から逃走し、周南市で確保された樋田淳也容疑者が、10日間以上にわたって山口県内の道の駅などを自転車で転々としていたことが30日、同行していた無職の男の供述や目撃情報から分かった。道の駅では「日本一周」の夢を語っていた。
真っ黒に日焼けした顔の口元を左手のピースサインで隠すような樋田容疑者。周防大島町の道の駅「サザンセトとうわ」で記念撮影に応じた。9月18日朝、愛媛県から同行したという男と道の駅に現れた。座った椅子の傍らには「行くぞ!日本一周中」と書いた紙を張ったリュックサックが置いてあった。
多くのサイクリストを受け入れてきた岡崎竜一支配人(54)は「2人とも本当に日本一周ができそうな装備だった。まさか逃走中だったとは」と言葉を失った。「櫻井潤弥」の名で、日本一周後のお礼を約束する手紙も残した。同町で樋田容疑者と会話した人によると、岩国市の飲食店で知り合った人の勧めで行き先を決めたという。26日に入浴無料だった町内の竜崎温泉でも目撃情報がある。
その後、2人は西へ向かい、28日朝には上関町の道の駅「上関海峡」へ到着したとみられる。高津京介駅長(49)は「逮捕の報道後に防犯カメラの映像を確認したら似た男がいた」。黄色いサンダルとオレンジ系のサングラスが、周防大島の写真と一致する。
高津駅長は2人がテントで夜を明かした後、29日に周南市へ出発したとみる。樋田容疑者は同日夕、同市の道の駅「ソレーネ周南」で万引をしたとして周南署に窃盗容疑で現行犯逮捕された。
30日未明、樋田容疑者は同署から大阪府警の車に移された。報道陣のフラッシュを浴びる顔を両手で覆い、うつむき加減で歩いて乗車。慌ただしく出発した。