超軽量動力機(ちょうけいりょうどうりょくき)は、非常に軽量かつ簡単な構造の機体を有する動力付の航空機。
アメリカではウルトラライトプレーン(英: ultralight)、ヨーロッパではマイクロライトプレーン(英: Microlight)と呼んでいる。国ごとに分類や呼称は異なり、例えばオーストラリアにおいてはウルトラライトとマイクロライトとは異なる型式の軽量機であり、区別して定義されている。日本の航空行政当局である国土交通省航空局はマイクロライトプレーンの内、一定基準を満たす飛行機を「超軽量動力機」と定義している。
日本
国土交通省航空局の文書によると、超軽量動力機とは、日本の国土交通省航空局の航空情報サーキュラー(AIC)の中で規定され、操縦者が着座姿勢で飛行を行いうる着陸(水)装置及び動力装置を装備した簡易構造の飛行機のうち、以下の条件を満たしている飛行機のことを言う。
1.区分は、舵面操縦型、体重移動操縦型及びパラシュート型とする。
2.単座又は複座であること。
3.自重は、単座のものは180 Kg以下、複座のものは225 Kg以下(「K」が大文字なのは原文通り)
4.翼面積は10平方m以上であること。
5.失速速度65 km/h以下であること。
6.最大水平速度185 km/h以下であること。
7.推進力はプロペラによって得るものであること。
8.車輪、そり、フロート等の着陸装置を装備したものであること。
9.燃料容量は、30リットル以下であること。
10.対気速度計及び高度計を装備したものであること。
超軽量動力機の運行は、国土交通省航空局に指定の許可を得ることで可能となる。超軽量動力機は、一般の飛行機よりも飛行させるための許可を得るのが簡単になっている。
一般の飛行機に必要な耐空証明や操縦者の技能証明は必要なく(自動車に例えれば、車検や運転免許が必要ないのと同様)、機体・操縦者・離着陸の場所について、事前に航空法上の許可を取得すれば飛ばすことが可能である。許可については、以下の3点が必要となる。
1.航空法第11条第1項但し書き(航空機の許可)
2.航空法規第28条第3項(操縦者の許可)
3.航空法規第79条但し書き(飛行場の許可)
自動車などに比べれば手続きは煩雑だが、それでも免許が不要であるなど、航空機の中では最も申請が手軽な部類である。そのため、近年愛好者が増えていっている。
なお、これらの許可は1年間有効であり、毎年申請する必要がある。
制限
日本では基本的に、家や道路のある区域では飛べず、広い空間を飛ぶためには大きな河川や海辺などの地域に限定される。また飛び立った場所とは別の場所に降りることも許されていない。そのため、交通手段としては使えない。現在の所、レジャー・スポーツ目的の機体である。
問題点
ウルトラライトプレーンは、空を飛ぶ乗り物ではあるが、それを操縦するために操縦士技能証明書(自家用操縦士や事業用操縦士)を取得する必要はないため、航空工学の知識や操縦に関する知識や技能などが乏しいまま操縦する者がおり、その結果、初歩的なヒューマンエラー(人的ミス、過失)による航空事故が多数起こっている。