数人で男性の両手を縛ってつるし、鉄パイプで何度も殴打する動画がインターネット上に拡散し、兵庫県警に「リンチではないか」「ひどすぎる」といった複数の通報が寄せられていることが、警察関係者への取材で分かった。神戸市内にある土木関連の業界団体が、所属企業の職場であった行為と認め、県警は集団暴行事件の可能性もあるとみて事実確認を進めている。
動画は今年10月、業界団体内での出来事を告発するようなタイトルで2本が動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」に投稿された。
一つは黒いシャツに作業ズボンの男性がロープのようなもので両手を縛られ、つるされた状態で暴行される内容。男性は複数人に囲まれる中、別の男性に鉄パイプで尻や背中を何度も殴られ、悲鳴をあげると、周囲が笑う様子が3分超にわたり写されていた。
もう一つは、白いシャツに作業ズボンの男性が何者かに顔を殴られ、目のあたりを押さえる瞬間の数秒が撮られていた。
警察関係者によると、動画は投稿後しばらくして削除されたが、11月に入って第三者が会員制交流サイト(SNS)などに取り上げ、拡散が始まった。通報は大半が匿名の電話という。
業界団体は11月13日付で、団体のホームページ(HP)に「お詫び」と題したコメントを掲載。今年4月に上司が従業員にした行為と認めた上で「事情聴取や指導・注意等を行い、加害者・被害者間で円満に示談済みであり、双方とも現在も当該社で働いています」とした。
この団体は取材に「HPに記した以上のことは答えられない。(暴行に至った)経緯は分からない」とした。