政府の中央防災会議の作業部会は11日、南海トラフ巨大地震の震源域で大地震が起きた場合、域内の残りの地域でも避難を始めるなど、住民や企業が取るべき防災対応を示した報告書案をまとめた。国は今後、対応をより具体化させた指針を作成し、自治体や企業には指針に基づく防災計画の策定を求める。
報告書案では、巨大地震の想定震源域のうち、〈1〉東側か西側のどちらかをマグニチュード(M)8以上の地震が襲う「半割れ」〈2〉一部でM7以上の地震が起きる「一部割れ」〈3〉断層がずれ動く「ゆっくりすべり」――の三つを前兆現象と定義した。
前兆現象が起きた場合、気象庁は国民に警戒を促す「臨時情報」を出す運用を昨年11月から始めたが、情報発表後の防災対応は定まっていなかった。報告書案では、異常現象の観測から5分程度で最初の臨時情報を出して続発地震につながるかの調査開始を公表。〈1〉~〈3〉のいずれかに当たると評価されたとき、最短2時間で2回目の発表を行う。
その上で〈1〉の場合、過去には東西が連動した地震が起きていることから、揺れに襲われていない側でも▽地震発生後の避難では津波到達までに明らかに逃げ切れない地域の全住民▽逃げ切れない可能性がある地域の高齢者や障害者ら――はあらかじめ避難してもらうことにした。