東京都練馬区の専門学校生、谷口夏希さん(20)とみられる遺体が見つかった事件で、遺体の頭部には複数の傷があったことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は熊沢義信容疑者(27)(死体遺棄容疑で逮捕)による暴行の痕跡とみて、11日朝から司法解剖をして死因を調べている。
捜査関係者によると、谷口さんとみられる遺体は9日夜、福島県いわき市の駐車場に止めていたレンタカーの後部座席で見つかった。死後1週間程度経過しており、顔に複数の殴られたような痕があったほか、側頭部にも複数の傷があった。谷口さんの学生寮の部屋は玄関が施錠され、物色の痕跡は見当たらなかったが、ベッドのシーツと枕に血痕が付着し、シーツの血痕はタオルケットに覆われていた。警視庁は、谷口さんが部屋で熊沢容疑者から暴行を受けて死亡した後、車に運ばれたとみている。
調べに対し、熊沢容疑者は死体遺棄容疑を認め、谷口さんの殺害もほのめかしたという。部屋から見つかった熊沢容疑者が書いたとみられるメモには「馬乗りになって手で首を絞めた」などと記されていた。遺体の状況と矛盾点もあり、警視庁は詳しく調べている。
都内の専門学校に通っていた谷口夏希さん(20)は、卒業後の就職先も決まり、来月には地元での成人式を楽しみにしていたといいます。
谷口さんは、長野県松本市で生まれ育ち、地元の高校では、吹奏楽部の活動に熱心に取り組み、打楽器のパートリーダーもつとめていたということです。
当時の同級生は「リーダーシップがあり、みんなの先頭にたって引っ張ってくれていました。事件に巻き込まれたことを知り、あまりにもショックです」と話していました。
高校卒業後は、都内の医療系の専門学校に進学し、資格を取得するなどして目標に向かって充実した生活を送っていたということです。
高校の担任は「明るくて天真らんまんということばが似合う子で、たまに帰省しては高校に立ち寄り、近況を話してくれました。数か月前には就職が決まったと連絡をくれただけに信じられません」と話していました。
来月には成人式を控えていたということで、吹奏楽部の顧問は「成人式もすまないうちに亡くなってしまったのが信じられないです。きれいで、明るくて自分に厳しい子でした。また遊びに来てねって話していたので、本当に悔しいです」と話していました。