2018年1月22日に関東地方で降った大雪を受けて、ツイッター上には「雪国出身」だというユーザー達から、「お湯を使って雪かきをしてはいけない」との注意喚起が続々と寄せられている。
はたして、雪の多い地域のユーザーによるこうした助言は、今回のような首都圏での積雪にも当てはまるものなのか。J-CASTニュースが、雪かきの「プロ」に尋ねると......。
■「大惨事に」
本州の南岸を通過した低気圧の影響で、関東平野部など太平洋側の広い範囲で22日昼ごろから大雪となった。東京都心では2014年2月以来約4年ぶりに20センチ以上の積雪を観測。列車の遅れや運休が相次ぐなど、交通機関に大きな乱れが出た。
久しぶりの大雪を受けて、東京都心に住む人からはツイッター上に「雪かきのやり方わかんないw」といった戸惑いの声も出ることに。こうした反応を受けてか、北海道や東北地方など降雪地帯の出身だというユーザーからは、
「雪かきが手間だからってお湯かけちゃダメだよ あしたにはスケート出来るようになっちゃうから」
「雪かきが辛いからってお湯をかけたりなんかしたら凍って大惨事になるからダメ」
「雪かきの代わりに水やお湯を撒くと、後でツルッツルに凍ってかえって危険」
など注意を呼び掛ける投稿が相次いで寄せられた。
実際、1月23日昼時点で「雪かき お湯」とグーグルで調べた際に、検索結果のトップに表示されるサイトでは、お湯をかけて雪を溶かす行為を「絶対にしてはいけない」と紹介。その上で、
「自分でスケートリンクを作っているようなものです。非常に危険なので地道に雪かきしましょう」
とも説明していた。
ムペンバ効果 (ムペンバこうか、英: Mpemba effect) は、特定の状況下では高温の水の方が低温の水よりも短時間で凍ることがあるという物理学上の主張。必ず短時間で凍るわけではないとされる。
1963年の当時、タンザニアの中学生であったエラスト・B・ムペンバ (Erasto B. Mpemba) が発見したとされるが、古くはアリストテレスやフランシス・ベーコン、ルネ・デカルトなど近世の科学者が気付いていた可能性がある。
科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」はこの現象を確認したい場合、効果が最大化されるよう摂氏35度の水と摂氏5度の水で実験を行うことを推奨している。
エラスト・B・ムペンバによる「発見」の経緯
ムペンバ効果はタンザニアの高校生、エラスト・B・ムペンバ (Erasto B. Mpemba) が「発見」したとされる。ムペンバはマガンバ中学校の3年次当時の1963年に初めてこの現象に出くわしたという。ムペンバは調理の授業中、アイスクリームミックスを熱いまま凍らせたところ冷ましてから凍らせたものよりも先に凍ることに気付いたとされる。その後ムペンバはイリンガのムカワ高校に進学した。ムカワ高校では校長がダルエスサラームにある大学からデニス・G・オズボーン博士を招き、物理学の講演が行われた。講演終了後、ムペンバは「同じ体積の35度の水と100度のお湯を冷凍庫に入れたら、100度のお湯が先に凍りました。なぜでしょうか?」と、クラスメイトからは嘲笑の的にされるだけだった質問をしてみた。当初オズボーン博士は半信半疑だったもののムペンバの発見を検証し、ムペンバとともに1969年に研究結果をまとめ出版した。なおムペンバは2008年現在国際連合食糧農業機関 (FAO) の「アフリカ森林および野生動物委員会」で働いている。