子どもが入学を予定している区立泰明小学校(和田利次校長)では、今春入学する1年生から、新しい標準服(制服)に切り替える。イタリアの高級ブランド「アルマーニ」に依頼してデザインを監修してもらったものだ。
洗い替えのシャツまでそろえると、全部で9万円だった。学校の説明によると、いまの標準服は、上着、長袖シャツ、ズボン、帽子をそろえて男子で1万7755円、女子で1万9277円。夏服が加わったこともあり、洗い替えの価格を加えても、3倍以上の値上がりとみられる。
子どもは身長120センチに満たないが、上着は130センチ、下は140センチのサイズを買った。
「大きすぎてかわいそうだと思ったけれど、高いので少しでも買い替えの回数を減らしたい。いまの制服と同じくらいの値段なら、本人のサイズにあったものを買ってあげられたのだけれど」
新しい標準服について、校長はこう説明する。
「時代の変化を体感させつつ、泰明小学校の児童であるというアイデンティティを育成していくための一環」
「これまでの歴史や伝統を守りつつ、小学校での『英語教育の導入』や、『地域との密接な連携』という新しい教育プログラムの導入と並行して行われていく泰明小学校の新しい時代に向けた変化であり、進化でもある」
「学校とは、学問だけでなく、倫理的な考え方や、集団生活でのあり方も同時に学ぶ場であると考えている。『服育』という考えに基づき、装うものからも学びの機会を得てもらいたい」
学校制服の決め方に、特段のルールはない。だが、近年は、学校関係者、保護者、地域住民などを交えた協議の組織を立ち上げ、保護者や生徒に素材や値段、デザインについての希望を聞くアンケートをとり、結果なども踏まえて、製造業者が複数集まったコンペでの提案から選ぶのが一般的だ。
だが、同校では、協議の組織や事前調査はなかった。和田校長がほぼ単独で働きかけ、決めたのだという。
なぜ校長一人で決めたのか。和田校長はハフポスト日本版の取材にメールでこう説明した。
「新標準服の導入は、泰明小学校の現在の教育状況を見つめ直し、泰明のよさを残しながらも、これからの時代に対応できる教育の具現化を目指し、教職員、児童の意識改変のために、学校の方針として必要であると判断して決めた。従って、校務をつかさどる校長が決定した。PTAの関わりは、おおよそのことが決まってから、PTA会長や役員の方々にご報告をいたしましたので、選定過程で関わることはなかった」
なぜアルマーニ社なのか。
「銀座に本社を構える海外ブランドの一つ。実際に、銀座にある百貨店にも、店舗内の服飾事業者と提携できないものか、また、数社の服飾事業者にも相談したが、『服育』という教育方針に賛同し、本社の協力体制が得られそうだという意思表示をしてくださったのがアルマーニ社だったので、デザインの監修をお願いした。アルマーニ社は子供服も手掛けており、実用性と機能性を重視した標準服を制作するにあたりふさわしい事業者だと思っている」