飛び出してきた犬を避けようとして転び、けがを負ったとして大阪府高槻市の男性が、飼い主と保険会社に3948万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、大阪地裁であった。塩原学裁判官は飼い主側に1284万円の支払いを命じた。
訴えていたのは40代の男性会社員。判決によると、男性は2015年6月、高槻市内をランニング中、前方から飛び出してきたミニチュアダックスフントを避けようとして転倒。骨折した右手首が曲がりにくいなど後遺症が残ったという。飼い主は当時、犬にリードをつけて散歩させていたが、犬が突然走り出し、手を離してしまったという。
判決は、動物は予想できない行動をとり、飼い主は散歩の際はつないでおく義務があると指摘。事故はリードから手を離したために起きたとして「過失は重い」と述べた。その上で、後遺症で男性の労働能力が一部失われたとして、本来得られたはずの収入との差額867万円や治療費などの支払いを命じた。
厚生労働省によると、2012年度末に登録された犬の頭数は678万5959頭。8世帯に1頭が飼われている計算だ。人が動物にかまれてけがをした事故はほとんど犬が原因。環境省によると、犬による事故は12年度に4218件あった。
ペットが人に被害をもたらすと、民法の規定で飼い主は損害賠償責任を負う。相当の注意を払っていれば責任を免れるが、証明は非常に難しい。賠償範囲は治療費、通院交通費、入通院慰謝料、後遺障害逸失利益、休業損害などにおよぶ。けがの程度によっては賠償金額が高額になる。