認知症高齢者らが事故を起こして賠償を求められた際に給付金を支給する救済制度を定めた神戸市の条例が28日、市会本会議で可決、成立した。給付型の救済制度は全国初という。これまで医療や法律の専門家らでつくる有識者会議が内容について協議してきたが、4月以降、新たに設ける委員会で救済する対象者の検診や給付額設定などを検討する。2019年度中の制度運用を目指す。
成立したのは「市認知症の人にやさしいまちづくり条例」。市によると、給付金は自動車損害賠償責任保険(自賠責)の上限約3千万円を参考にし、財源は納税者1人当たり年間400円程度の市民税超過課税を検討している。どのようなケースを救済対象にするかについては新設の委員会が判定する。
対象となるのは「認知症と診断された者」とし、責任能力の有無を問わずに救済する方針。医療機関による2段階の検査を想定している。市は検査を受ける費用の一部を助成する。
同条例は、認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けることを目指し、市や医療機関の役割を規定した。早期診断の啓発のほか、認知症の疑いがある場合に運転免許を自主返納するよう推進する。