千葉県松戸市のベトナム国籍の小学3年レェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9)=が殺害された事件で、殺人や死体遺棄などの罪に問われた同じ学校の元保護者会長渋谷恭正被告(47)の裁判員裁判の論告求刑公判が18日、千葉地裁(野原俊郎裁判長)であった。
検察側は「人として良心のかけらもなく、特異で冷酷な犯行だ」と述べ、死刑を求刑した。被告側は改めて無罪を主張し、結審した。判決は7月6日。
検察側は論告で、遺体の腹部からリンさんと渋谷被告の混合したDNA型が検出され、軽自動車からも広範囲にリンさんの血痕が確認されたと指摘。「被告が犯人であるとしか考えられない」と主張した。
被告が見守り活動をしていたことに触れ、「保護しなければならない立場にあったのに、真逆の行為をした」と非難。「信頼していた被告に裏切られたリンさんの精神的、肉体的苦痛は計り知れない」と述べた。
一方、弁護側は最終弁論で、リンさんが事件前、被告の車で遊んだ際に出血し、血の付いた手で車内を触った可能性があると主張。「DNA型以外に犯人であることを裏付ける証拠がない」と指摘し、無罪を訴えた。
渋谷被告は最終意見陳述で、「無実無罪だ。検察は架空の事実を述べ、証拠を捏造(ねつぞう)しており腹立たしい」と話した。