大手居酒屋チェーンで仕事中に死亡した男性店長の遺族が、男性のスマートフォンの記録をもとに労災を申請していた問題で、労働基準監督署が過労死と認定したことが分かりました。
遺族などによりますと、労災が認められたのは、福岡市の「わらわら九大学研都市駅店」の店長だった53歳の男性です。男性は去年6月、1人で開店の準備中に客席で倒れ、致死性不整脈で亡くなりました。
遺族は去年12月、男性のスマートフォンに残されていた位置情報の記録をもとに長時間労働が原因だったとして労災を申請。福岡中央労働基準監督署は長時間労働による過労と店長としての精神的負荷が認められるとして、今月7日付で労災を認定しました。
「こういう働き方は、大手居酒屋チェーンの店長や社員は同じように働いている。(勤務時間の)見直しを迫る決定だと私は評価しています」(遺族の代理人 松丸 正 弁護士)
居酒屋を運営する「モンテローザ」はJNNの取材に対し、「真摯に受け止め、再発防止に努めて参ります」とコメントしています。
「白木屋」「魚民」「笑笑」「山内農場」「千年の宴」…と誰もが知る看板で居酒屋を展開、急成長を遂げたモンテローザ。全店舗直営(FC展開なし)で2176店は日本一の出店規模だが、2015年3月期決算で2年連続の減収減益となり最終赤字に転落、現場も疲弊し、過労死も発生させている。そのなかの2つの店で約1年間、店長(店舗責任者)として勤務し、今春、退職したばかりの元社員(20代後半)が、店舗の実情を語った。サービス残業約140時間を含む月平均400時間働き、目標に達しないと「オマエらの給料で内輪で“親睦会”を開いて売上を立てろ」とエリアマネージャーから指示され、年20回以上は自腹を切った。そのマネージャ自身も「この会社は事件になったほうがいい」と部下に漏らすほど。噂にたがわぬブラック職場だったという。