乳幼児突然死症候群(にゅうようじとつぜんししょうこうぐん、英語: Sudden infant death syndrome、SIDS(シッズ))は、何の予兆もないままに、主に1歳未満の健康にみえた乳児に、突然死をもたらす疾患である。「予期せぬ乳幼児突然死(英:Sudden Unexpected Infant Death(SUID)、Sudden Unexpected Death in Infancy(SUDI)」の1種である。アメリカなどでは、俗に「cot death」や「crib death」と呼称する。2005年4月18日、厚生労働省が公表したSIDSに関するガイドラインによると「SIDSは疾患とすべきでない」という意見もある。
症状
厚生労働省のSIDS診断ガイドラインによる定義は以下の通りである。
’それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群
— SIDS診断ガイドライン,
SIDSは症状の申告だけで正確な診断ができるわけではない。例えば、死亡に先立って、その児を損なうような行為があり、静かになったことが眠ったように見えた場合、「眠っていた(と思っていた)のに死んでいた」という申告だけを聞いて病死という診断をしたならば、誤診になる可能性は高くなる可能性がある。
そこで法医学のなかでも正確な診断にこだわる人々は、医学的な結論を出す前に犯罪の可能性と事故の可能性を否定するための調査を慎重にとりおこなう。これを死亡状況調査と言い、最新のSIDS診断基準ではSIDSであることを確認する前提として必須とされる。
原因
2016年現在、SIDSの原因は不明である。単一の原因で説明可能なのか、様々な原因による突然死の集合であるのかも判明していない。呼吸器の先天的・後天的疾患が関係するのではないか、等、いくつかの仮説があるに留まっている。
厳密なSIDSに限らずそれまで正常だった小児が急変して突然死した症例を「広義のSIDS」とするならば、突然死における先天代謝異常は5%を超える。