神奈川県大井町の東名高速道路で昨年6月、乗用車にトラックが追突し、夫婦が死亡した事故をめぐり、あおり運転で無理やり停車させ事故を引き起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた建設作業員石橋和歩被告(26)の裁判員裁判の初公判が3日、横浜地裁(深沢茂之裁判長)であり、弁護側は同罪について無罪を主張した。
罪状認否で、同被告は起訴内容を大筋で認め、弁護側は事実関係は認める一方、同罪と予備的訴因の監禁致死傷罪はいずれも成立しないと指摘した。判決は14日の予定。
起訴状によると、石橋被告は昨年6月5日夜、東名下り線のパーキングエリアで、静岡市清水区の自営業萩山嘉久さん=当時(45)=に駐車方法を非難されたことに憤慨。時速約100キロで萩山さん一家が乗った車を追い抜き、車線変更して進路をふさぐなどの運転を繰り返し、追い越し車線上に停車させて追突事故を誘発、萩山さんと妻友香さん=同(39)=を死亡させたほか、娘2人にもけがをさせたとされる。
危険運転致死傷罪は運転、走行行為が対象だが、検察側は、直前のあおり運転と停車後の事故に明白な因果関係があるとして、適用に踏み切った。一方、予備的訴因として監禁致死傷罪を追加した。公判前整理手続きでの同地裁の指摘を踏まえたとみられ、萩山さんの胸ぐらをつかんで車外に引きずり出そうとし、再発進を困難にさせたことが監禁に当たると主張する。
これに対し弁護側は、停車後の事故に危険運転致死傷罪は適用できず、監禁の故意もなかったと訴える見通し。
公判は7回予定され、10日に検察側の論告求刑と弁護側最終弁論が行われる。