神奈川県大井町の東名高速道路で昨年6月、あおり運転を受けて停車させられた夫婦が追突され死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪に問われた建設作業員、石橋和歩(かずほ)被告(26)の裁判員裁判の第3回公判が5日、横浜地裁(深沢茂之裁判長)であった。
この日は初めての被告人質問が行われ、石橋被告は「こういう事件を起こして申し訳ないことをした。本当にすいませんでした」と謝罪した。
石橋被告は3日の初公判時と4日の第2回公判時と同じ上下黒のジャージー姿で出廷。手に茶色のタオルハンカチを持ちながら被告人質問に臨んだ。
石橋被告は弁護側の被告人質問で、車を現場直前のパーキングエリア内の通路に止め、たばこを吸っていたところを亡くなった萩山嘉久(よしひさ)さん=当時(45)=に「邪魔だ」と注意されたことから「カチンときて、文句を言おうと追いかけた」と話した。高速道路で一家の車を追いかけ始めた直後に後方からパッシングしたことについて「何のためか」と問われると「止まれっちゅうことです」と説明した。
また、追い越し車線上に停車させた際「追突されるとは思わなかったか」との質問に対しては「その時は思わなかった」。降車後、後部座席の嘉久さんの胸ぐら付近をつかみながら「道路に投げてやろうか」と引っ張った行為については「多分そのときの勢いでつかんだと思う」と話した。
一方、暴行行為を止めたきっかけについては「(同乗女性に)『子供がおるけんやめとき』といわれたから」と話し「子供を巻き込んだりしたら悪いと思った。子供がいると知ってたらやらなかったです」と約45秒間、目元をハンカチで押さえていた。
一方、検察側の被告人質問で「高速道路で車を停車させることは危険な行為だと思うか」と問われると「今は思います」と応答。事件後の運転については「安全運転したりしよったと思います」と話した。
起訴状によると、石橋被告は昨年6月5日夜、走行中の萩山嘉久さん一家のワゴン車に妨害行為を繰り返して追い越し車線上で停止させ、大型トラックによる追突で、嘉久さんと妻の友香さん=同(39)=を死亡させ、同乗の娘2人にけがをさせたなどとしている。