三重県大台町の魚介類販売店が、カワハギに似た有毒魚「ソウシハギ」とみられる魚3匹を誤って販売し、うち2匹が購入されていたことが12日分かった。1匹は、誰が買ったか特定できておらず、県は注意を呼び掛けている。健康被害の報告はない。
県によると、店は同町栃原にある「味彩館キッチン海ものがたり」。11日、三重県松阪市の市場で業者を通じ、カワハギとして3匹を仕入れた。同日午前10時~午後2時に2匹が売れた後、業者から「ソウシハギだったかもしれない」と連絡を受けた店が県に届け出た。
ソウシハギによる食中毒の事例はないが、消化管や内臓に有毒物質パリトキシンを含む。
ソウシハギ(草紙剥、学名: Aluterus scriptus)は、フグ目カワハギ科ウスバハギ属に属する海水魚の一種。種小名のscriptusはラテン語で「書かれた」を意味する。
概説
世界中の熱帯海域に分布する。日本では本州中部以南に生息するが、流れ藻などの浮遊物につく習性があり、瀬戸内海でも生息が確認されている。 内臓に致死性の猛毒を含む(後述)ため、食べないよう注意喚起されている。 一方、内臓以外には毒が含まれないため沖縄などでは流通量は少ないながら食用とされており、刺し身や天ぷらなどにされて食べられている。
全長50-100cm。体は強く側扁した長楕円形。尾鰭は丸く、頭長よりも長い。腹鰭後端の突起はない。背鰭は2棘43-50軟条で、棘は目の中央上にあり、色は黒・灰色で細く弱い。臀鰭は46-52軟条。
体色は、灰色の地に不規則な青色線が散在する。幼魚の体色は緑色で、海藻の間に倒立することで擬態している。同属のウスバハギが群れを形成するのに対し、本種は単独でいることが多い。
餌は、藻類・刺胞動物・ホヤなど。肝臓と消化管内容物に、餌のイワスナギンチャクなどに由来する海産毒素パリトキシンを含有することがある。
パリトキシン (palytoxin) は、海産毒素の1種。非ペプチド性の化合物ではマイトトキシンに次ぐ猛毒である。1971年に、ハワイに生息する腔腸動物イワスナギンチャク Palythoa toxica から初めて単離された[1]。多糖類やタンパク質といったポリマー系の生体高分子ではなく、構造式が正確に定まるような天然有機化合物の中では最大の部類に入る。名称は、Palythoa から分離されたことに由来する〔paly+toxin(毒)〕。
もともとはシガテラ中毒の関連毒素と考えられていたが、現在はアオブダイ食中毒の原因物質と同定されている。
毒性
マウスに対する半数致死量 LD50(静脈内注射)は0.15 µg/kgで、フグ毒として有名なテトロドトキシン(LD50 8 µg/kg、静注)よりも強い。ハワイの先住民族では、矢毒として用いられていた。