環境省は27日、博多港に近い福岡市博多区の倉庫で、コンテナから荷降ろししていた30代男性作業員がヒアリに刺されたと発表した。症状は軽く、病院で手当てを受けて帰宅したという。5月に国内で初めてヒアリの侵入が確認されて以降、人が刺されたとの報告は初めて。
同省や福岡市によると、コンテナは中国広東省から運ばれ、24日に同市東区の博多港のアイランドシティに荷揚げされた。27日に倉庫に運ばれ、作業員は同日午前10時半ごろ、電子機器が入った段ボール箱を出す作業中に左腕を1カ所刺され、周囲に発疹が出た。
コンテナには、さなぎを含めてヒアリ約30匹がおり、同日中に駆除した。男性は「腕に10匹ほどまとわりついたので振り払ったが、クラゲに刺されたような痛みを感じた」と説明しているという。
国内で相次いで発見されているヒアリについて、環境省ではこれまで「アメリカで年間100人程度の死亡例もある」などと説明してきたが、「海外での死亡例が統計上は確認できていない」として、こうした表現をホームページから削除した。
ヒアリの毒性について環境省は、専門書などに基づいて「アメリカで年間100人程度の死亡例もある」などと説明してきたが、その後、公式な統計ではこうした海外での死亡例が確認されていないことが分かったという。
統計上の死亡例は台湾や中国でも確認されておらず、環境省は該当する表現をホームページなどから削除した。
1998年までに累計で少なくとも44例のヒアリによる死亡ケースが確認されている。そして、これはだいぶ少なく見積もった数だ。個々の死亡ケースは、たびたびニュースになっている。