29日午後6時ごろ、兵庫県伊丹市荻野の若松公園で同市内の小学5年の男児(10)がヤマカガシとみられるヘビに右手首をかまれた。男児は帰宅後に血が止まらなくなり、頭痛を訴えて病院に搬送されたが、意識不明の重体という。
県警伊丹署によると、男児は公園内で友人と遊んでいたところ、ヘビに右手首をかまれた。帰宅後に血が止まらくなり、頭痛を訴えたため、同日午後9時ごろ、救急車で病院に搬送された。30日朝になって、男児の母親が同署に通報。男児の友人がヘビを捕まえて保管しており、署員が引き取った。
ヤマカガシ(山楝蛇=やまかがし)は、ユウダ科の毒蛇です。長い間無毒と考えられていましたが、1972年に中学生が咬まれて死亡する事故が起きてから、毒蛇として認識されるようになりました。
ヤマカガシには、クサリヘビ科のハブやマムシと違って前歯に鋭い毒牙はありません。上あごの奥歯(後牙)が毒腺につながっている後牙類の毒蛇です。元来、おとなしいヘビで、手で触ったり踏みつけたりしない限り咬まれることは、まずありません。ただ、ヤマカガシに咬まれると大変危険です。
さて、その皮下LD50で比較する「日本三大毒蛇(マムシ・ハブ・ヤマカガシ)」の毒性は次のようです。当然ながらLD50の数値が小さいほど毒性は強いことになります。
◇第1位:ヤマカガシ LD50=5.3 (mg/kg)
◇第2位:マムシ LD50=16 (mg/kg)
◇第3位:ハブ LD50=54 (mg/kg)
ヤマカガシは、猛毒で恐れられるハブやマムシを抑えて、堂々の第一位。ヤマカガシの毒性はマムシの3倍、ハブの約10倍の強さです。まさに日本一の猛毒の持ち主と言えるでしょう。それがヤマカガシなのです。
ヤマカガシは口腔の毒牙のほかに、首の部分に頚腺と呼ばれる別種の毒腺を持っています。この毒液が目に入ると、結膜や角膜の充血・痛みを生じ、結膜炎や角膜知覚麻痺炎などの症状を引き起こすほか、最悪の場合は失明することがあります。
北海道と沖縄を除く日本全国に棲息しています。
29日午後8時ごろ、兵庫県伊丹市内の男子児童(10)の母親から「子どもがヘビにかまれた。手首の血が止まらず、頭痛がする」と119番があった。児童は病院に搬送され、一時意識不明になったが、現在は意識が戻っているという。