20代の男性につきまとったとして、千葉県警柏署は4日、ストーカー規制法違反の疑いで同県我孫子市栄の無職、中村弘美容疑者(42)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は同日午前11時3分ごろ、20代男性の勤務先前路上をうろつくなどのつきまとい行為をしたとしている。
中村容疑者は男性の携帯電話に約80通の電子メールを送ったなどとして、11月13日に同法違反容疑で逮捕された後、釈放。同月22日に同法に基づく禁止命令を受けていた。
同署によると、今月3日に男性から「また勤務先の近くをうろついている」と通報があり、4日に署員が周辺捜査をしていたところ、中村容疑者がうろつく姿を確認、現行犯逮捕した。
調べに対し「私は付き合っているのに逮捕された。逮捕された理由を聞こうと思って、会いに来てしまった」などと容疑を認めているという。
『新婚旅行は、北海道、一周したいな(^o^)弘美ちゃん』
男性は、「携帯番号は教えていない。わたし自身は、まだホッとはしていない。何年も何年も、1日見なくなっても、その翌日現れたり」と話した。
年がら年中『かっこいい』と言っていた
中村容疑者の母親は、「顔だけ見たいから朝行っていたみたい。年がら年中『かっこいい』、『かっこいい』と言っていました。毎朝、もうやめなさいと言いました。言うことを聞かなかった。ずっと4年間このまま、それで逮捕」と話した。
アナタに愛されたい、自分の存在を認めてほしい――。そう願うのは自然な恋愛感情だ。熱烈な「愛されたい症候群」は、もちろん病気ではない。
しかし、好きな相手に愛されていると思い込む「妄想性障害(エロトマニア)」はタチが悪い。別名「クレランボー症候群(Clérambault's Syndrome)」とも呼ばれるが、この病名は1872年にフランスに生まれた精神科医ガエタン・ガチアン・ド・クレランボーにちなむ。
(中略)
クレランボー症候群は、完全な虚構や妄想に基づく、精神薄弱、ヒステリー、冷感症、性倒錯と判断されている。患者の7割は40代の女性だ。相手が自分に惚れていると思い込む「純粋色情狂」と、恋愛感情やストーカー行為がコントロールできない「精神自動症」の2類型に分類できる。
アメリカの精神科医ドリーン・オライオンの『エロトマニア妄想症 女性精神科医のストーカー体験』(朝日新聞社)によれば、エロトマニアの妄想に取り憑かれた者が求めるのは、愛する相手との肉体的な結合ではなく、ロマンティックで精神的な一体感だ。
妄想は執拗で何年も続く。別の対象を見つけない限り終わらない。ストーカーは精神分裂症などを抱えているため、強制的な解離、禁止命令、収監などの法的介入が必要になる。抗精神病薬のメジャートランキライザーを投与すれば、恋愛妄想やつきまとい行為が改善される場合もある。