自民党税制調査会(宮沢洋一会長)は7日、党本部で会合を開き、2018年度税制改正で焦点となっている所得税改革案を大筋で了承した。
控除制度を見直し、年収800万円を超える会社員を増税とする。公明党と調整した上で、14日にまとめる与党税制改正大綱に盛り込む。公務員を含め給与所得者の約5%が増税となる見通しで、20年1月から実施する。
年末の税制改正に向けて増税論議のオンパレードだ。年間千円の税金を徴収する「森林環境税」と呼ぶ増税案が決まる見通しだ。そのうえ、サラリーマン世帯の給与所得控除の削減やたばこ税の増税までも実施される方向だ。シンクタンクの分析では平成23年以降、すでに消費税率や社会保険料引き上げなどによって実質可処分所得はじわりと減っている。増税が実行されれば、家計の負担がまた増える。税金は取りやすそうなところから取るのは、いつの世も変わらないようだ。
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税制改正ではこのほか、観光資源の整備のための財源を作るとして「観光促進税」の名で日本から海外に出て行く人に課税する出国税が創設され、たばこの増税も決まる見通し。最近ヒット商品となっている加熱式たばこも目を付けられた。
世界で加速する電気自動車(EV)の普及が、各国政府の財政問題に発展する可能性が出てきた。ガソリンの代わりに電気で走るEVが普及すれば、揮発油税などの税収減が不可避になるためだ。2050年には先進国の関連税収が8割落ち込むとの試算もあり、財政赤字の膨らむ日本にとって課題になりそうだ。
自民、公明両党は6日、2011年に廃止された地方議員年金を事実上復活させる法改正を検討することで一致した。自民は地方議員を地方公務員共済組合法上の「職員」とみなして厚生年金に加入できるようにする関連法改正案を既にまとめており、公明と調整する。19年の統一地方選を見据え、来年の通常国会に改正案を提出したい考えだ。
会計検査院は8日、税金の無駄遣いや不適切経理などが計423件・874億円に上ったとする2016年度決算の検査報告を安倍晋三首相に提出した。指摘された件数、金額ともに過去10年で最少。指摘額が1000億円を下回るのは06年度(310億円)以来。使われずに積み上がった余剰資産への指摘が少なかったことなどが要因という。