滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年、男性患者=当時(72)=の人工呼吸器を外して死亡させたとして殺人罪に問われ、服役した元看護助手の西山美香さん(37)が裁判のやり直しを求めている再審請求で、大阪高裁(後藤眞理子裁判長)は20日、再審を認める決定をした。 今回の審理で西山さんの弁護団は、患者が致死性不整脈で病死した可能性を指摘する医師の意見書を提出し、事件性はなかったと主張していた。患者の死因や自白の信用性について高裁の判断が注目されていた。 西山さんの弁護団によると、これまで高裁は解剖結果をもとに患者が事件以外で死亡した可能性に関心を示し、弁護側、検察側の双方に死因について主張や立証を促していた。 05年の確定判決によると、西山さんは職場での待遇への不満から病院に恨みを抱き、それを晴らすために事故を装って患者の殺害を計画。人工呼吸器のチューブを抜いて患者を殺害したとされた。
★「自白」にある多くの矛盾点
西山さんと犯罪をむすびつける証拠は西山さんの「自白」以外にありません。 証拠とされた自白調書では、看護師詰所の廊下を挟んだドアの開いたままの隣室(4人の患者がいる)に入り、「Aさんに装着してある人工呼吸器を引き抜き、60秒経つとアラームが鳴るので、1、2、3と秒を数え、60秒直前に消音ボタンを押し、これを3回繰り返し(3分間)死ぬのを見ていた。口をハグハグさせ顔を歪め苦しそうに死んでいった」旨述べています。
一審の大津地裁は、この「自白」を「実際その場にいた者しか語れない迫真性に富んでいる」と全面的に信用し、解剖をした医師の「急性低酸素状態に陥ったことによる急性心停止」との鑑定、証言と矛盾しないなどと認定。懲役12年の判決を言い渡し、最高裁で確定しました。
「自白」には多くの疑問や矛盾点があり、その後の第1次再審請求、第2次再審請求で弁護団が提出した新証拠では、「自白」が客観的、科学的な鑑定結果にも反する虚(きょ)偽(ぎ)の疑いが一層濃厚になりました。
その主なものは、次の点です。
1.急性低酸素状態による心停止で必ず現れる症状が解剖所見にみられない
2.呼吸を停止した人は3分では死に至らない
3.病院を困らせるために「事故」に装った犯行なら自ら「殺人」を供述する必要はなかった
4. 看護師詰所の隣室、しかも他の患者もいて、同僚看護師がナースコールなどいつのぞかれるか分からない部屋は犯行が目撃されやすく、犯行方法が不自然、不合理
このような点から、警察官に述べた「自白」は信用性がなく、冤罪は明らかです。
第四条 抑留又は拘禁による補償においては、前条及び次条第二項に規定する場合を除いては、その日数に応じて、一日千円以上一万二千五百円以下の割合による額の補償金を交付する。懲役、禁錮こ 若しくは拘留の執行又は拘置による補償においても、同様である。