同居する母親(69)の顔を殴ったとして、大阪府警は29日、長男で無職の山田剛嗣(たけし)容疑者(38)=大阪府八尾市安中町2丁目=を傷害の疑いで逮捕し、発表した。母親は搬送先の病院で死亡し、暴行との因果関係を調べている。「4〜5日前に言うことを聞かないので数十発殴った」と容疑を認めているという。
介護殺人の現状と特徴
警察庁の犯罪統計によれば、2007年から2014年までの8年間に「介護・看病疲れ」を動機として検挙された殺人は356件、自殺関与は15件、傷害致死は21件であった。また殺人ではないが、内閣府の自殺統計によれば、2007年から2015年の9年間に「介護・看病疲れ」を動機とした自殺者数は2,515人、そのうち年齢が60歳以上の者は1,506人で、全体の6割を占めている。統計がとられるようになってからまだ10年も経過していないが、この間に介護・看病疲れによる死亡がこれほどまで多く発生していることに驚かされる。
日本中がゴーストタウンになり、若者は消え、高齢者は見捨てられる……。人口減少で予想される悲惨な未来が、目前に迫っている。2022年に団塊世代が75歳の後期高齢者になり、日本は「限界国家」に向かう。社会保障は破綻し、人心は荒廃する。この国に残された時間は少ない。