ストレスで胃腸の病気や突然死を招くメカニズムを、北海道大の村上正晃教授(免疫学)のチームが解明し、15日付のオンライン科学誌イーライフで発表した。ストレスで起こる脳内の炎症が関わっていた。「病は気から」の仕組みが裏づけられたといい、ストレス性の病気の予防や診断への応用が期待される。
チームは、睡眠不足など慢性的なストレスをマウスに与えた。そのマウスのうち、自分の神経細胞を攻撃してしまう免疫細胞を血管に入れたマウスの約7割が、1週間ほどで突然死した。一方、ストレスを与えただけのマウスや、免疫細胞を入れただけのマウスは死ななかった。
突然死したマウスを調べたところ、脳にある特定の血管部分にわずかな炎症があることを発見。炎症はこの免疫細胞によって引き起こされ、通常はない神経回路ができて胃腸や心臓に不調をもたらしていたことがわかった。
ストレスを感じているときに、ストレスをどう受け止め対応したかを示す「ストレス対処行動」により、炎症状態が変化する可能性があるという調査結果を、ペンシルベニア州立大学の研究チームが発表した。
多くの人は、心理的なストレスを受けた時に、ストレスに対処しようと、ストレス対処行動を起こす。これがうまくいくと、ストレスによる負荷が軽減されることが分かっている。
一方、最近の研究では、慢性的な炎症が続くと、肥満、糖尿病などの生活習慣病や動脈硬化が進行しやすくなることが明らかとなっている。
研究チームは、「良い方向へ解釈しようとする」(ポジティブな解釈)、「解決に向けて懸命に取り組む」(積極的な問題解決)という対処行動をしている人は、炎症の状態が軽い傾向があることを突き止めた。
毎日のストレスは炎症の原因になるが、ストレス対処行動によって軽減できる可能性があるという。