経口補水液は、脱水症のときに不足する水と電解質を口から補給する「経口補水療法」という治療に用いられる飲み物です。
日本では消費者庁が許可した食品にだけ表示が認められる「特別用途食品」のうち「病者用食品」として販売されています。
でも、暑い日に脱水症を予防しようと経口補水液を求めてコンビニエンスストアに行ってみたら、置いてなかったということはありませんか?
自宅に何本かストックしておこうとスーパーマーケットで探したけど見つからなかったという経験は?
コンビニエンスストアやスーパーマーケットに経口補水液が見当たらない理由、それは、この「病者用食品」という点にありました。
販売できるけど……
経口補水液「オーエスワン」を作っている大塚製薬工場に聞きました。
オーエスワンは「病者用食品」です。病者用というと、治療に用いるのかと勘違いしそうですが、医薬品ではなく、あくまでも「食品」。だから、本当は薬局やドラッグストアに限らず、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでも販売することが可能です。
しかし、食品とはいえ、オーエスワンは、年齢や持病に合わせて飲み方に注意が必要な食品でもあります。
同社は「そのため、消費者の方が、医師、薬剤師、看護師、管理栄養士などの専門家のアドバイスを必要なときにいつでも受けられる場所に売り場が限定されているのです」と説明します。
現在、オーエスワンを手に入れることができるのは、病院内の売店・コンビニエンスストアや自動販売機、調剤薬局、ドラッグストアなど、登録販売者ら専門家がいるところに限られます。
経口補水液の割り箸レシピ公開
長谷川さんは、計量カップやスプーンがなくても経口補水液を作れる簡単な方法を教えてくれました。
◇ 【コップ1杯およそ200mLの経口補水液の作り方】
食塩は0.6グラム、砂糖は8グラム。食塩を量るために用意するのは割り箸です。2つに割ってください。そして、割った片方の割り箸の太い方を塩にくぐらせましょう。
割り箸の側面に乗った食塩の重さはどのくらいかというと、0.2~0.3グラムくらい。だから、コップ1杯分の経口補水液を作るには、割り箸で食塩を2回すくい取ってください。それで約0.6グラムになります。
砂糖は、角砂糖が1個約3~4グラム、スティックシュガーが1本3~6グラムくらいなので、これを目安にします。
水に食塩と砂糖を加えたら、あとは、底に沈んでいる食塩と砂糖が見えなくなるまで、しっかり溶かしましょう。
作った経口補水液は、雑菌が混ざって傷むおそれがあるので、その日のうちに飲み切ります。
脱水症のチェック方法
暑いのにのどの渇きを感じず、水分補給をしなかったために、気づかないうちに体の中から水分が失われていることがあります。
このように、自覚症状がない脱水症状の前段階ともいえる状態を3秒で見極める方法が二つあります。
まず一つ目。手の親指の爪をぎゅっと押してみてください。ピンク色から白に変わりますよね。では、押していた手を放してみてください。徐々に白色からピンク色に戻ってくると思います。
その戻るまでの時間を計っておいてください。何秒かかりましたか?
3秒以上かかった人は、いますぐ水分補給をしましょう。脱水状態に陥っているおそれがあります。
もう一つの脱水症チェックは、手の甲の皮膚をつまみ上げるというもの。
皮膚をつまみあげたら、指を離してください。普通ならすぐに戻ります。
でも、皮膚がなかなか元の状態に戻らないときには要注意。この場合も脱水状態のおそれがあります。すぐに水分補給しましょう。
ご紹介した二つの方法は、セルフチェックはもちろん、自分でのどの渇きを伝えられない方の水分不足をいち早く見つけるためにも活用できます。